発達検査について
発達検査とは
発達検査は、発達全般、および認知、言語・社会性、運動などの子どもの状況を客観的に測定する検査です。
結果は、いわゆる「健常児」ではどのくらいの年齢に相当するかを示したものになります。
具体的には実年齢と発達段階の年齢との比率を「発達指数(DQ)」という数値で表します。
発達指数は、知能、歩行・手作業などの運動、着衣・飲食などの日常生活、ままごと遊びなどの対人関係の発達など、子どもの広い範囲の発達を対象とした指標です。
DQが100なら、年齢通りに発達していると言えます。
実際にはDQ90~110なら「問題なし」
DQが概ね70~90が「グレーゾーン」
DQ70未満なら「何がしかの診断が付く可能性」
という具合です。
一般的に知能のレベルを表す「IQ」とは異なります。
IQは知能検査をして初めて得られる数値となりますが、知能検査を受けられるようになるためには、ある程度発達していることが条件になります。
主な知能検査には「WISC-Ⅳ」というものがあります。
主な発達検査の種類
新版K式発達検査2001
‣適用年齢:~13歳4か月
‣所用時間:約30分~
子どもの全般的な発達を知るための検査です。
積み木や折り紙、カードを使って、真似をする力や同じ形を見つける力、物を扱う力などを見ます。
また、書く力がどれだけあるか、
言葉を理解する力
コミュニケーションをとる力
なども見ます。
遠城寺式 乳幼児分析的発達検査法
‣適用年齢:~4歳8か月
‣所要時間:約15分~
子どもの発達についていろいろな側面からおおよそのことを知るために行う検査です。
・移動運動
・手の運動
・基本的習慣
・対人関係
・発語
・言語理解
以上の項目に分かれており、どういった特徴を持っているのかをグラフで分かりやすく結果が示されます。
新版S-M 社会生活能力検査
‣適用年齢:~中学生
‣所要時間:約20分
保護者からの聞き取り検査です。
社会生活でどれだけのことができているのかを計る検査です。
・身の回りのことをする力
・作業をする力
・やり取りをする力
・集団で関わる力
・我慢する力
上記の項目ごとに、多数の設問があります。
発達指数について
発達検査の結果は、上述の通り発達指数(DQ)という数値で表されます。
DQは
●認知・適応・・物事の理解・場にふさわしい言動など
●言語・社会・・言葉とコミュニケーションなど
の2つに分かれていることがあります。
この2つがどちらも同じような数値で基準に満たないのであれば、発達が全般的にゆるやかである、と考え、
この2つに大きな差があれば、発達に凸凹がある、と考えるようです。
ですが、娘のように発語だけが遅れていたり、緘黙症状があったりするなど、一概には言えず、医師の診察の結果などと合わせて、総合的に説明してくれます。
『発達指数は、成長につれて大きく上下することはほとんどない』
初回の発達検査後、医師から言われた言葉であるとともに、大きなショックを受けた言葉です。
無謀な希望を抱いて失望するより、現実を知っておいた方が良い、との先生のお考えだったのだと思います。
そして実際、初回の発達検査から4年ほど経った現在は、その言葉の信憑性が頷けるものとなっています。
ショックを受けたのは、発達指数に変化がないということは、年齢が上がるにつれて実年齢と発達年齢の開きが大きくなるという点です。
要は成長するにつれ、周りのお友達との差がどんどん開いていく、ということです。
発達指数とは偏差値のようなものなので、数値が同じでも取り扱う母数が大きくなると差を表す数も大きくなるのです。
ですが、発達指数とはあくまで指標に過ぎませんし、その子の未来を占うものでもありません。
我が子が、だいたいどの辺りにいるのか、感覚的に知っておけばいいのであって、発達指数にこだわり過ぎないほうが良いと思います。
発達指数は「その子」を表すものではない
子どもの能力を計るような発達指数ではありますが、設問項目は限りがありますし、例えばその子の持つ優しさなどの「魅力」は、検査などでとても計れるものではないと思います。
発達段階と、その子の人間性は関係がないもの。
仮にのばせる「能力」に限りがあるのだとしても、
その子の「魅力」は無限大、
わたしはそう思います。
*体験談*
娘の場合、上記の検査の中で
・新版K式発達検査2001
・新版S-M 社会生活能力検査
この2種類を合計3回受けました。
冒頭に出てきた知能検査の「WISC-Ⅳ」も本来受けるべき検査だったのですが、場面緘黙で発声による回答ができないこと、緘動症状から検査を受けられる状態ではなかったことで、結局受けずじまいとなりました。
新版K式発達検査2001
先生の書いた簡単な絵を真似する、
先生と同じ積み木の形を作る、
のような問題など、雰囲気が既に「検査!」といった感じで、緊張感はありました。
発達検査は、問題内容自体が年齢とともに変わるものと、年齢が変わっても、関わり方に制限が出てくるものなどがあるようです。
娘の場合は、3歳児に受けたときの発達検査の結果が一番高く、その後はどんどん数値が下がりました。
それは年齢が上がって、先生がちょっと手を取ってあげることなどの関わりが制限されていき、緘動症状の出る娘が「検査に取り組めなくなった」ことが大きな要因のようでした。
また、年齢が上がるにつれ、発語で回答する設問もあるようで、その設問はもちろん全滅です。
発達指数の項目で記載したことですが、発達指数は基本的に大きく上下することはない、と初回の結果説明時に言われました。
ですので、娘の場合、2回目以降の発達検査の結果DQは、この限りではない、計れない部分が大いにある、という見解でした。
この結果を聞いたわたしは当初、
本当の能力が計れないのに検査を受ける意味があるのか、この発達指数に何の意味があるのか、娘はもっとできるはずなんだ、と思い、ものすごく悔しい思いをしました。
就学先を決める際の最後の発達検査では、もっと低い値が出たのですが、その時、検査をして下さった先生に言われた言葉で、考え方が180度変わったことを今でも忘れられません。
『必要な時に必要な能力を発揮する、ということも能力のうち』
就学先を決めるような年齢で求められる力のうち、自分の本意でなくても「やらないといけない」と理解し、「とりあえずやる」ことができること、これも大事な力であるということを教わりました。
娘の場合、やらないといけないと分かっていたとしても(分かっていなかったかもしれませんが)、できない状態だったんですね。
「できない」と「やらない」は別物ですが、周囲の評価としてはどちらも「できない」ということになります。
そしたら、「できる状態ではない」ことに困っている今の娘の状態、という風に、発達検査の結果を受け取る必要があり、今回の発達指数は「できる状態ではない」ことがいかに多いかを意味するもの、だと考え改める必要があったわけです。
これまでのわたしは、娘の秘めた力にスポットを当て、
本当はこんなこともあんなことも、できるんです!ということをアピールしていました。
ですが娘にとって本当に必要だったのは、
そんなアピールよりも、
本当はできるのにできない状態に困っていること
を理解することだったんですね。
発達検査って、奥が深いですね。
単に数値だけを見て、一喜一憂することに、あまり意味はないと思います。
その結果をもとに、得意なこと、苦手なことをきちんと知って、
どうして苦手なのか、
その苦手を軽減するには、どういう工夫が有効か、
これを考えるためのデータである、と思います。
~その他気付いたこと~
- 検査問題は後からでも教えてもらえない
- 検査に取り組んでくれるかどうかは子ども次第
- 検査と検査の間は1年あける必要がある
- 発達検査は臨床心理士などの有資格者のみ、保健師、保育士では実施できない
新版S-M 社会生活能力検査
上記の新版K式検査を娘が受けている間に、別室でわたしが受けた検査です。
靴の左右がわかる、
ファスナーができる、
電話で応対ができる、
などのような設問に一つずつ答えていきます。
この検査結果と、娘が受けた検査結果の数値を、比較して結果の説明をしてくれます。
子育ての面談、療育関係での面談、そして発達検査もそうですが、1つずつ、できる・できないを考えて答えていくうちに、心がいつも重くなるのを感じました。
「できないです」
「できません」
「やったこともないです」
などと答えていくうちに、
自分の声が自分の耳に入り、いつもは蓋をしている辛い気持ちをいちいち刺激されるような感覚に陥り、検査後はずーんと重たい疲れでいっぱいでした。
娘にとっても検査は楽しいものではないので、疲れていたと思います。
発達検査を終えた日は、ぜひ親子でスイーツや好きなものを食べるなど、自分たちを大いに労ってくださいね。