年代別公的支援一覧
こちらに記載の支援は、お住まいの自治体によって異なる可能性があります。
また、すべてを網羅しているとは限りませんのでご了承ください。
(2020年10月現在)
目次
未就学児への支援
小学生~高校生への支援
- 療育手帳(内容は未就学児の療育手帳へのリンクになります)
- 各学校での相談
- 障害児通所・入所受給者証(放課後等デイサービス)
- その他
18歳以上への支援
- 障害者手帳
- 障害福祉サービス受給者証
- 障害基礎年金(20歳から)
- 生活に関する支援サービス
- 日中一時支援
- 移動支援(ガイドヘルプサービス)
- 短期入所(ショートステイ)
- 居宅介護(身体介護・家事援助・通院等介助 など)
- 就労関係
- 相談支援機関
- ハローワーク
- 障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 関係事業
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)
- 就労移行支援
- 就労定着支援
- 就労継続支援(A型/B型)
- 相談支援機関
未就学児への支援
育児相談・発達相談
【窓口:自治体の保健福祉センターなど】
自治体が設けている育児相談や、保健福祉センターでの乳幼児健診の際、希望すれば保健師さんに子どもの様子を見てもらいながら、相談することができます。
電話での相談、子どもの様子を見てくれる対面相談、親子で通える幼児教室など、自治体により違いはありますが、子育て中の悩みや疑問も相談できる最初の窓口にもなります。
ここでは保健師さんとの面談となりますので、発達に関して「診断」はできないため、発達障害や知的障害などの有無については明確な答えは得られません。
たくさんのお子さんを見てこられた保健師さんから、
「様子を見ましょう」や、「心配なら医療機関で発達検査を受けてみては?」などの、第3者からの意見を聞くことができます。
担当の保健師さんによっては、軽い発達検査のようなものを実施して下さり、その結果受診が必要と判断された場合には、必要なアドバイスをしてくださる方もいらっしゃいます。
また、その先、もし療育が必要と判断した場合には、次項にあります“障害児通所・入所受給者証”などの申請時に、相談した記録を提示してもらえるため、申請や審査がスムーズにいくという利点もあります。
〈幼児教室について〉
多くの自治体では、未就学のお子さんを対象とした親子幼児教室を開いています。多くの場合、ここに通うために診断などは必要なく、利用料金も実費のおやつ代(数百円)だけのことが多く、発達が心配なお子さんなら基本的にどなたでも通うことができます。
ただ、どこの自治体も年々利用が増え、定員がいっぱいの場合もあります。また、利用前に自治体での相談履歴が必須というところもありますので、自治体に相談に行くことが、公的サービスを利用することが第一歩になります。
年長さんが就学を迎えると、その枠が空いてきますので年度替わりのタイミングで入れることもあります。
幼児教室では、保育士の資格を持った先生と小集団で関われるため、人数の多い園よりもその子に寄り添った活動をして下さいます。また、親にとっても日常の些細な不安や、時には幼稚園や保育園で辛い思いをした時などに、話を聞いてくださるため、親にとってもガス抜きの時間となり得ます。
障害児通所・入所受給者証(児童発達支援)
【窓口:自治体の障害福祉課】
療育機関を利用するなど、福祉サービスの利用者負担の補助を受けるための証書です。1か月間の福祉サービス利用料に上限が設けられており、多くの場合は月額4,600円です。
つまり、頻繁に利用しても、負担する金額は4,600円で、それ以上かかった金額については行政から補助が受けられることになります。
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
〈障害児相談支援と支援相談員について〉
福祉サービス(民間の療育機関など)を利用するにあたり、「障害児支援利用計画」という書面を作成する必要があります。
これを作成し、福祉サービスの利用日程の上限などの行政とのやり取りをしてくださるのが、支援相談員です。
支援相談員は定期的に子どもの状態をモニタリングし、必要な支援を得るためのアドバイスを下さったり、「基本相談」として悩みを聞いてくださったりする伴走者のような存在です。
支援相談員によっては、民間の療育機関についての情報を教えてくれたり、毎年誕生月に更新となる受給者証の申請書類の書き方を丁寧に教えてくださったり、と心強い存在です。
福祉サービスの利用途中に、新たな支援事業所と契約を予定していたり、現在利用中の支援事業所で利用日数を増やしたい場合には、支援相談員の方に連絡をすれば対応してくれます。
〈福祉サービス利用開始までの流れ〉
- 自治体の育児相談や発達相談を受ける *必須ではない場合があります
- 障害児通所・入所受給者証の申請→交付
- 支援相談員による「障害児支援利用計画」の作成
- 各療育機関と契約
- 利用開始
*医療機関などで発達検査を受けて、すでに診断が付いている場合には、利用開始までの流れが上記とは異なる場合があります。
余談ですが、診断が付いていない場合や、サービス利用開始時には、この「障害児通所・入所受給者証」という文字を見てショックを受ける方もいらっしゃると思います。わたしもそうでした。でもここはぐっと堪えて、必要なサービスを受けるため、と割り切って保険証が入っているポーチに入れました。
療育手帳
【申請窓口:自治体の障害福祉課など】
【更新や面談:児童相談所】
上記の受給者証とは別物で、様々な助成が受けられる障害者手帳の一種で、対象は知的障害です。自治体によって呼び方が異なる場合がありますが、障害者総合支援法の対象となります。
知的な遅れを伴わない発達障害の場合、交付されないこともあるようです。
IQテストが実施できないほど、年齢が低い場合などは、“親の困り具合”が交付に値するかどうかを左右する、という話を聞いたことがあります。
障害者手帳について、詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
また、療育手帳の取得は、特別支援学校に行くためには必須です。
就学を迎える際、就学先の選択肢に特別支援学校が入っているなら、年度末が近づくにつれ予約が取りにくくなりますので、早めに予約を取って審査を受けることをおすすめします。
〈療育手帳を取得するまでの流れ〉
- 自治体の障害福祉課などの窓口で療育手帳の申請をする
- 審査日などは児童相談所から後日、はがきで通知が来る
- 指定された日に発達検査
すでに診断がついていたり、発達検査を受けていたとしても、児童相談所で受ける検査が、審査を左右します。 - 結果は後日郵送
*原則3年に1回更新。児童相談所の判断でそれ以上にもそれ以内にもなり得る
わたしの住んでいる自治体では、療育手帳にも種類があります。
「A:重度」、「B:中軽度」となっており、Bは、さらにⅠとⅡに分かれますが、段階的に受けらる助成が異なります。
具体的には、タクシーでの移動で使えるタクシーチケットの交付や、自動車税の免除、公共機関の運賃割引、入院費用の助成などなど段階に応じて幅広い助成がうけられます。
レクリエーション施設でも、窓口で提示すると利用料が割引になったり、駐車場代が割引になったり、とお出かけのとき持ち歩いて提示すれば、思いがけないサービスを受けることができます。
こちらも先述の受給者証と同様、取得を決めるまでになかなか決心が付きませんでした。ですが、将来的に療育手帳を返還することもできますし、本人の経歴にはなんら影響しないものです。必要機関以外に提示の義務もありません。
療育先の先生に言われた言葉は、「デメリットは親の心だけ。受けられるメリットの方が大きいよ」今でも忘れません。
就学時相談
年長に上がった年、統合保育*や発達に心配のある子どもを受け入れている幼保園・こども園では、自治体から園に巡回相談員の方が来て、就学先選びをサポートしてくれます。
*統合保育とは、保育園の障害児保育で、集団の中で子どもが適切な支援を受けるために外部から巡回訪問で様子を見てくれたりします。
相談員の方は、園での子どもの様子を見て、その後親との面談の時間を設けてくださいます。就学先選びのポイントや、各学校への見学や相談に行く場合の手順なども教えてくださいます。
〈就学先での相談について〉
・特別支援学校での相談
わたしの住む自治体では、特別支援学校で就学先を相談できる窓口があり、発達に心配がある、なしに関わらず、就学先選びの相談に乗ってくださいます。
特別支援学校は、都道府県の中での支援教育の中枢を担っているため、支援に関して専門的なアドバイスが得られたり、直接子どもの様子を見てアドバイスをいただけたりします。
実際、地域の学校の支援学級の先生方の指導などもされているため、他では聞けなかったアドバイスなども聞くことができ、わたしの場合は、この支援学校での就学相談が決め手となり、就学先を決めました。
・地域の学校での相談
お住まいの地域にある公立学校では、就学に当たっての個別相談を受け付けてくれます。窓口は教頭先生もしくは校長先生です。
直接学校に電話でアポイントを取るのが一般的です。
相談のタイミングで、支援学級などを見学させてくれることもあり、一般論ではなく、その学校での対応を直接聞くことができます。
具体的に、こういった支援が受けられるか、や在籍生徒の人数などの実情を聞くことができますので、「この学校に通ったら」という前提で聞きたいことをリストアップして行くとスムーズです。
支援が必要な子どもは、普通級・特別支援学級のいずれに在籍したとしても、「合理的配慮*」を受ける権利があります。
ただ、学校側の実情として難しいことも多く、細かなことは親と学校のすり合わせによって決まっていきます。
その際、積極的に配慮をしてくれる学校かどうか、も個別の相談での先生の受け答えで暗に分かることも多いです。
安心して通学するために、就学先を迷うのであれば一度お住まいの地域の学校に直接相談に行かれることをおすすめします。
*合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。 日本では、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法において、事業者に対して合理的配慮の提供義務が課されました。
詳しくは内閣府の提供するパンフレットをご覧ください。
小学生~高校生への支援
療育手帳
こちらは就学前から変わりません。
先述の「未就学児・療育手帳」をご覧ください。
各学校での相談
児童発達支援から移行すると、以前相談できていた先生が管轄外になってしまうことがあります。
就学後は各学校が、教育の一環としてやっていくことになりますので、学習や発達に関しての相談は、基本的に在籍する学校の担任の先生になります。
就学を迎えるまでは、通っていた療育施設から切り離されたようで不安でしたが、実際には1日の多くの時間を過ごす学校こそ、子どもにとっては学習・発達の礎になるため、学校の先生と情報共有することが、子どもの発達にとっても重要だと思えるようになりました。
障害児通所・入所受給者証
(放課後等デイサービス)
こちらも制度上は未就学のときとほとんど変わりありませんが、通う療育機関は「放課後等デイサービス」になります。
多くの事業所は学校まで迎えに行って、自宅まで送り届けてくれる送迎サービスを実施しているため、働くお母さんにとては、学童のような存在にもなります。
また、学校からの宿題を見てくれたり、運動教室や絵画教室、クッキング、プールなど、事業所によっては習い事も同時にできるような、魅力的な事業所もあります。
利用する前には親子で見学に行ったり、体験をさせてもらったり、送迎の範囲は自宅と学校を網羅しているか、利用者の年齢層はどうか、などその子に合った事業所選びをしてくことも大事です。
また、夏休みなどの長期休暇中には、特別プログラムを実施していたり、昼食を外部から注文販売していたり、長い休みをサポートしてくれる内容もありますので、長期休暇中のプログラムを見せてもらうのもひとつです。
就学先選びの次にやってくる、事業所選び・・
複数施設の見学や契約、など親の負担も大きいものです。
ですが、就学までもう少しです。最後のひと踏ん張りです!
その他
あまり知られていませんが、以下のサービスもあります。
知られていない理由としては、放課後等デイサービスなどの事業所が、送迎もしてくれたり、預かりという意味合いも強いため、わたしも利用できるサービスであるとは知りませんでした。
知っていれば利用できる可能性もある、魅力的なサービスです。
- 日中一時支援
(厚生労働省のホームページより抜粋)
障害者等の日中における活動を確保し、障害者等の家族の就労支援及び障害者等を日常的に介護している家族の一時的な休息を目的とする。
- 移動支援(ガイドヘルプサービス)
(厚生労働省のホームページより抜粋)
障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者を対象とする外出を支援するもの
- 短期入所(ショートステイ)
普段は自宅で見守りをしているが、短期的に宿泊を伴う支援を受けられるサービス。
家族の急病や急用により一時的に介護ができない状態になった際や、リフレッシュを目的とした際にも利用されます。
生活を見守る一般型と、医療的ケアを受けられる医療型があります。 - 居宅介護(身体介護・家事援助・通院等介助 など)
支援者が自宅に訪問し、介護や調理などの家事援助をしてくれるサービス。 - その他
支援事業は幅広く、利用できるサービスが他にもあるかもしれません。
18歳以上
障害者手帳
障害者手帳には3種類あります。
*詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
18歳を過ぎたら、「知的障害者更生相談所」で手続き・更新となります
- 精神障害者保健福祉手帳
18歳未満では対象とならなかった、知的な遅れを伴わない発達障害や気分障害、てんかん、統合失調症なども対象になります。
特に20歳を過ぎれば、それまでは親の収入に対して助成金の額が決定していたのに対し、本人の収入に対しての助成を受けられることになりますので、これから先の本人の人生をサポートしてくれる助成の意味合いが大きくなってきます。
18歳までと異なる点として、障害の区分がより細かく分けられることで、利用できるサービスの範囲が決まります。
障害福祉サービス受給者証
放課後等デイサービスなどの事業所は、18歳の誕生日を迎えるまで、申請すれば高校卒業まで利用できるのですが、その後は利用できるサービスが変更になります。それらの福祉サービスを利用するにあたり、利用者負担に上限を設けそれ以上の金額を行政から助成してもらうための証書です。
こちらも、利用者負担金額の決定のベースになるのは親の収入ではなく、本人の収入になるため、9割以上の方が利用者負担金0円で利用しているという実情があります。
障害基礎年金(20歳から)
20歳から障害者に支給される年金制度で、障害の重さによって支給額に種類があります。
障害者手帳を持っていたとしても、書類申請をし、審査を受けることになっています。
申請先・申請時期・必要書類など
- 市役所等の国民年金係の窓口(自治体により異なる可能性があります)
- 20歳になる半年前くらいから(申請を希望する方は国民年金の加入手続きは保留する)
- 「病歴・就労状況等申立書」、「医師診断書」など
医師の診断書は、できれば発達の早い段階から関わっている専門の医師に依頼するのがスムーズです。 - 18歳未満から療育手帳を持っている場合、療育手帳交付時の記録が児童相談所に残っていることがあるので、記録を取得しておくと良いそうです。
生活に関する支援サービス
放課後等デイサービスが利用できなくなる18歳以上からは、前項で「その他」とまとめた支援サービスが主体となってきます。
- 日中一時支援
(厚生労働省のホームページより抜粋)
障害者等の日中における活動を確保し、障害者等の家族の就労支援及び障害者等を日常的に介護している家族の一時的な休息を目的とする。
- 移動支援(ガイドヘルプサービス)
(厚生労働省のホームページより抜粋)
障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者を対象とする外出を支援するもの
- 短期入所(ショートステイ)
普段は自宅で見守りをしているが、短期的に宿泊を伴う支援を受けられるサービス。
家族の急病や急用により一時的に介護ができない状態になった際や、リフレッシュを目的とした際にも利用されます。
生活を見守る一般型と、医療的ケアを受けられる医療型があります。 - 居宅介護(身体介護・家事援助・通院等介助 など)
支援者が自宅に訪問し、介護や調理などの家事援助をしてくれるサービス。 - その他
支援事業は幅広く、自治体によって利用できるサービスが他にもあります。
こちらに記載のものは主要なものに限りますので、お住まいの自治体の福祉サービスを一度チェックしてみてください。
就労関係
相談支援機関
↓これらをまとめた厚生労働省のホームページはこちら
- ハローワーク
ハローワークでは、就職を希望する障害者の求職登録を行い、専門スタッフ(障害者専門支援員)が障害者の適正や症状に合わせて職業相談・職業紹介・職場適応指導を実施しています。また、公共の職業訓練の紹介やトライアル雇用なども活用しながら就職支援を実施。
さらに、他のサービスと大きく異なり就職面接会を開催しているのがハローワークの特徴。
- 障害者職業センター
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置している地域障害者職業センターが各地域にあります。
‣地域障害者職業センターでは障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助を実施しています。(ホームページより抜粋)
- 障害者就業・生活支援センター
障害者の身近な地域において、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点として、就業面及び生活面における一体的な相談支援を実施します。
(厚生労働省ホームページより抜粋)
関係事業
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)
一般就労者に対して適応される公的なサポートで、定期的な会社訪問やアドバイスが主。
障害者手帳もしくは医師の診断書により申請が可能で、登録すれば利用可能。
年齢制限や利用期限もない。
窓口:障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター
費用:無料
- 就労移行支援
会社で働くための力を身に付ける訓練等給付サービス。
・原則2年間の支給量が目安。
・事業所でのアセスメントや訓練、実習を経て企業への就職をサポート。
・就職後のフォローアップもある。
- 就労定着支援
就労移行支援等で、就労した後、企業と障害者をつなぎ、安定して就労を続けられるようなサポートで、企業への訪問や就業後の相談などの支援を受けられる。
- 就労継続支援(A型/B型)
こちらは就労ではなく、事業所が提供する福祉サービスの一環。
✔「働く」をサポートする雇用型のA型
・就業時間は4時間程度
・送迎がない事業所が多い
・給与あり(6~9万円/月が目安)
✔「働く」をサポートする非雇用型のB型
・軽作業が中心で、日常の安定化と仕事意欲向上を目指す
・工賃(数千円~2万円/月が目安)
・レクリエーション活動等を取り入れる事業所もある
・送迎サービスのある事業所が多い