療育っ子のトイレトレーニング
布パンツデビューまでの道のり
トイレトレーニングは子育ての中でも壁に直面しやすい課題の一つです。
こちらでは、我が子のトイレトレーニングについて、その始まりから完了まで、どんな風に乗り切ったのかご紹介します。
一般的な進め方ではうまくいかないこともある、療育っ子のトイレトレーニング。
ここでご紹介する方法が、どんなお子さんにも効果があるとは言えませんが、どんな観点で工夫をしたのか、少しでもヒントになれば幸いです。
目次
- トイレトレーニングを始めたのは3歳
- トイレトレーニングが完了するまで
- まとめ
トイレトレーニングを始めたのは3歳
トイレトレーニングを始める時期は、早い子では数か月の赤ちゃんの頃から時間を見計らってトイレに座らせる、ということをされる方もいらっしゃいますし、言葉が育って自分の考えや気持ちを伝えられるようになってから、という方もいらっしゃいます。
そんな中、3歳になってから始めるのが、トイレトレーニング期間も短く済み、親子ともに負担が少ない、というような話を聞いたことがありました。
事実上の子の時は、それを忠実に実行し、3歳になってから始め、そんなに行き詰まることなく布パンツデビューを果たしました。
そんなわけで、第二子である我が家の療育っ子も、3歳になったので始めよう!そんな気持ちでトイレトレーニングをスタート。
上の子の時にうまくいったやり方で間違いないと、同じように始めました。
トイレトレーニングに失敗した方法
①時間を見てトイレに連れていく
‣トレーニングパンツは使わない
‣おまるも使わない
トレーニングパンツは洗濯が大変です。
そしてある程度おしっこを吸収してはくれますが、結局拭き掃除からは逃れられない。
また、おまるも掃除が大変。
おまるもトイレも一緒でしょ。
そんな理由で、トレーニングパンツは使わずに、
まずはオムツが濡れるタイミングをチェック。
そろそろ出るかな?と思う時間に、トイレに誘ってみる。
タイミングは合ってるはずなのに、でない。
何度繰り返してもでない。
今の紙おむつは性能が良いから、おしっこしても「不快感」がないんだ!
そう思って、今まで買わなかったトレーニングパンツを買いに行くことにしました。
その頃はちょうど夏の始まりで、ちょうど良いタイミングだと思いました。
②トレーニングパンツを使ってみる
紙おむつと違って、肌触りが良いでしょ?
ほら、かわいいパンツでしょ?
お姉さんになったね!
(この言葉かけの、どこまでを理解していたのか分かりませんが)
気持ちを上げようと、履かせる前にたくさんポジティブワードを聞かせました。
そして時間を見計らって、トイレに連れていくことも忘れません。
ですが、おしっこの度に全部漏らす。
直前にトイレに座らせたのに、全部漏らす。
幼稚園でも協力してもらい、トレーニングパンツで登園。
何枚も失敗したトレーニングパンツを持ち帰る。
毎日、トレーニングパンツの洗濯が山ほどありました。
時々ウンチも出ていました。
泣きたくなりました。
③汚した床の拭き掃除をさせる
漏らして汚した床を拭き掃除をさせる。
これは上の子でもトイレトレーニング後半でやりましたが、
狙いは『漏らしたら気持ち悪くて、後始末が大変である』ことを分かってもらうことです。
毎日何度も漏らすので、この狙いはもちろんですが、わたしの精神のためにもやってもらうことに。
ですが、これも効果なし。
それどころか、鼻歌混じりで拭き掃除を楽しんでしました。
掃除を楽しんでやってくれるのは、冷静に考えればとても良いことです。
ですがわたしのイライラもMaxです。
『楽しいんじゃないの!大変なの!』
そんなことをしているうちに、夏が終わり、わたしもこれ以上トイレトレーニングを続ける気力を失っていたので、一旦終了しました。
紙おむつ生活に逆戻りです。
トイレトレーニングに失敗した理由
トイレトレーニングに一度挫折してから、療育の方面で本格的にポーテージプログラムを受けることになったのですが、一般的なトイレトレーニングが通用しないということを身をもって感じていました。
ある種のこだわり
療育が必要なお子さんには、いろんなこだわりがある場合があります。
我が家の療育っ子の場合は、普段あまり強いこだわりはないのですが、一口で言うと「頑固」な所があり、その頑固さが時として身体の動作を封じ込める傾向にありました。
それは気持ちの面で、
「いやだな」、「自信がないな」、「どうしたらいいのかよく分からないな」と感じていることに対して、身体が緊張で固まってしまって動かなくなるようです。
それは日常生活のあらゆる場面で、動けなくなってしまうことはあるのですが、トイレトレーニングでも同じだったのです。
いつも紙おむつの中でしていたおしっこを、ある日を境にトイレでしてね、と言われて、やり方もよくわからず、平たく言えば緊張してしまい、力が入ってしまう。
力が入っていれば、おしっこは出ません。
この力が入っている感じを、わたしは「おしっこをしようとしている」と勘違いして、なんで出ないの⁈と思っていました。
ポーテージの先生に、出すときは「ほっ」と緩めないと出ないものですよ、と言われて初めて、「閉めていた」ことに気づきました。
そして紙おむつやトレーニングパンツを履いたら、「いつも通りの環境」に安心して出てしまう。
この『ある種のこだわり』は、普段と違う事に対する『拒否感』に繋がっていて、その拒否感がトイレトレーニングを阻んでいたのです。
トイレトレーニングが完了するまで
トイレに対する、ある種のこだわりを、スモールステップで乗り越えていきます。
王道のトイレトレーニングでは、このこだわりの壁が高すぎて、乗り越えられなかったようです。
こだわりの壁の前に、小さな階段を一つずつ積み重ね、子どもの歩幅に合わせて登っていくイメージです。
根気が要りますが、やみくもに失敗が続いていた以前に比べると、とても前向きに取り組むことができました。
トイレトレーニング攻略のポイント
1.「いつも通りの環境」でおしっこが出る時・場所を探す
紙おむつ以外の環境で、おしっこが出る時がないかを探します。
我が子の場合、お風呂に入るとき、必ずかけ湯のときにおしっこが出ていました。
お風呂はリラックスできる環境ですし、ふわりと緊張がほぐれて自然とおしっこが出るようです。
我が子の場合は『お風呂でおしっこ』からスタートです!
*もし、そんな時がない場合は、必ずおしっこが出るタイミング(寝起きや帰宅時)を見つけます。
そして紙おむつを履いていていいので、「おしっこする場所」を決めると良いそうです。(姿勢はいつもおしっこが出る姿勢、立位でも着座でもOK)
いきなりトイレでも、上手くいけばいいのですが、
例えば安心できる場所で、できれば傍にオマルを置いておきます。
『おしっこするときは、指定の場所へ行き、そこにはいつもオマルがある』環境づくりから始めます。
次に姿勢を立位ならしゃがんで、しゃがんでできたらオマルにまたがらせる、というように、紙おむつを履いたままおしっこする姿勢をオマルにまたがってできる、を目指します。
2.目標設定は細かく
最初は「おしっこに行く」機会を1回だけ設定します。
最初は帰宅してから、2時間程度経った夕方にいつも出ていたようなので、その時間帯になったら、お風呂場へ誘い、温かいシャワーを足元にかけておしっこさせます。
そこで出れば一緒に喜びます。
ご褒美も取り入れて良いです。
イラストに示したその後のステップも、確実にできるようになるまで、一つずつゆっくり焦らず進めます。
また、ステップアップしてできなければ、すぐに前のステップに戻ります。
前のステップでもできなければ、その前に戻っていいのです。
行きつ戻りつ、ステップを登っていきます。
前のステップに戻ってできれば、できたことに対して褒めてあげられます。
ステップを急がず、なるべく「できた」結果を導き褒める、この繰り返しで、子どもは自信を付けていくようです。
自信が付けば、次のステップに進んだときに、前向きに取り組めることと、前回もできなかった時もあるけれど、できるようになったという事実が、子どものチャレンジを後押ししてくれ、結果的に前に進みやすくなります。
焦りは禁物。
子どものペースで小さな「できた」を積み重ねます。
3.要所にご褒美(強化子:きょうかし)の使用
ご褒美、というとなんだかペットのようで違和感があるという方もいらっしゃると思います。
また、ご褒美が忘れられなくて、いつまでもご褒美がいるようになるのではないかと、不安になる方もいらっしゃると思います。
ですがまず、ご褒美というのは、目に見えて手にすることができる「できた証」であるという認識です。
子どもが、今チャレンジしていることに対して、達成感を倍増してくれるもの、それをポーテージの先生は「強化子:きょうかし」と呼んでいました。
文字通り、意欲や達成感を強化してくれるもの。
そしてそのご褒美がずっと必要か、というと案外そうでもありません。
一つのことができると、できることが当たり前になり、自然と忘れてしまうようです。
忘れてしまうというか、他に違う課題が出てきたりして、そちらの取り組みに一生懸命になるため、以前のご褒美に固執しないような印象を受けました。
ちなみに、我が家で使用したご褒美は、
- 個包装の笛ラムネ
- 個包装のチョコ
- ボタンを押せば出てくるガム
- スタンプカード
- シールなど
基本的にどのステップで使用して良いです。
子どもが張り切って取り組めるタイミングや中身で設定して良いです。
《ご褒美のポイント》
- 子どもが喜ぶもの、好きなもの
- 用意が簡単、安価なもの
- 飽きたら品を変える
- 高すぎるハードルにご褒美を設定しない
- ご褒美を設定した取り組みは、「必ずもらえる」ことに親は注力する
この最後の2つのポイントはとても重要です。
わたしも失敗して、ポーテージの先生に教えてもらったのですが、
「ほら、できなかったからもらえなかったね、悔しいね」
というのは、実はとても高度なやり取りで、トイレトレーニングをする世代の、特に療育っ子にとっては、納得できない内容です。
このやり取りで、子どもが抱く感情とは、
『もらえなくて嫌だった』
だけであって、『嫌だった』取り組みそのものを放棄する動機になってしまいます。
なので、ご褒美を設定したら、あの手この手で達成できるように徹底的にサポートします。
あの手この手で達成させるからには、課題はハードルの低いものでなければなりません。
例えば
- トイレに座れただけでOK
- お風呂場に行けたらOK
- オマルにまたがれただけでOK
- トイレでもオマルでもお風呂場でもいいので、出ればOK(受皿がある)
まずはできるだろうな、と思うポイントから始めるのがコツです。
ご褒美をもらって、子どもが達成感を目で見て、手に取って感じられるようになれば、『チャレンジする』ことができるようになってきます。
少し難しくても、あるいはちょっとイヤだなと思っても、ご褒美がもらえるならやってみようかな、と思えるというわけです。
この繰り返しで、子どもは自信を付けていきます。
自信がしっかりと根付けば、もうご褒美なんて必要なくなります。
目に見えなくても、手に取ることができなくても、『達成感』をしっかりと味わう力を持っていますので、次なる課題にも自ずとチャレンジできるように育っていくのだそうです。
トイレトレーニング完了は5歳後半
このような道のりを経て、ようやくトイレトレーニングが完了したのは、5歳後半でした。
始めてから実に2年以上かかったんですね。
長い道のりの途中には、挫折も怒りも叫びも悲しみもありました。
ですが、最後にはそれを補って余るほどの大きな喜びと、達成感がありました。
トイレトレーニング完了後に気を付けること
トイレトレーニングが完了してから、最初の冬は要注意です。
人間の身体は、夏の暑い時にはおしっこの間隔が長いものですが、寒くなるとトイレが近くなります。
トイレに夏よりも頻繁に行かなければいけない、
トイレが寒い、
などの理由で、子どもがトイレに行くのをめんどくさがり、間に合わない、という事態が起こるようになります。
トイレトレーニングが完了して初めての冬は、油断せず子どものおしっこサインを見つけたら積極的にトイレに連れて行くように心掛けると良いです。
冬の事情を知り、お漏らし事件を未然に防ぐように動ければ、自分にも余裕が生まれます。
また、トイレトレーニングが完了しても、夜の布パンツは心配。
また、布パンツで寝ていても冬は心配になる季節です。
夜だけ紙おむつにするという手もありますが、
サイズがない、履かせたくない場合のお助けアイテムが、
【おねしょケット】です。
スカートのようになっているもの、
ズボンのようになっているもの、
など種類もあります。
そして温かいです。
我が家ではこのおねしょケットに、何度も救われました。
そして子ども自身も、履いていると安心なんだそうです。
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トイレトレーニンググッズの紹介
トイレトレーニングの最初は、上の子の時に頂いた、3wayタイプのものを使いました。
上の子の時はオマルは使わなかったので、オマルとして重宝しました。
今でも洗面台のステップとして使用しています。
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買い足したもの
‣取手のないタイプの補助便座
補助便座に取手が付いていると(下の画像タイプ)、抱えて座らせるか、子どもがまたいで座る必要があり、使い辛かったので、取手のないタイプの補助便座を買い足しました。
価格:848円 |
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‣トイレにすっぽりはまる踏み台
乗り降りがしやすく、足が付くと踏ん張れるため、トイレのサイドまでカバーしてくれるステップを買い足しました。
トイレでできるようになって、さらに一人で乗り降りができるようになると、親もとてもラクになりました。
価格:1,280円 |
まとめ
療育っ子はトイレトレーニングのみならず、いろんな困難があり、一筋縄ではいかない場面がたくさんあります。
100人いれば100通り、と言われるように、
みんなに共通してこれが正解だという解決策はありません。
その子に合うやり方を考えて、トライ&エラーを繰り返す親はかなりな精神力が必要になります。
このページを訪れてくださった方に、何か一つでもヒントになることがありますように、また、お一人で悩むようなことがありませんように、願っています。
悩んでいるのはそれだけ真剣にお子さんを想っている証拠です。
何かヒントを探してこのページに辿り着いてくださったなら、前に進んでいる証拠です。
一緒に頑張りましょうね!