親ができる療育って?
特有の不安を乗り越えるために親ができること
先日、過去に放送されたNHKの番組、
「パパと僕のスペシャル・ライフ」の再放送を見ました。
自閉症の11歳の男の子が、
小学校を卒業し、中学校へと進学する過程に密着したドキュメンタリーです。
こだわりが強く、周囲の音に敏感な男の子。
わたしが惹かれたのは、男の子のお父さんの関わり方です。
とにかくすごい・・!
日々とても丁寧に子どもと接する姿が印象に残っているのですが、
中でもお父さんの「声かけ」のすばらしさ。
周囲の日常の生活音が気になったり、
不安になったり、不快感が強かったりする男の子に対して、
その子どもの不安な気持ちを細かく代弁し、
例えば周囲の音が怖くて不安になるときには、
その音が何なのか、
どうしてそんな音がするのかを説明し、
「だから怖がらなくても大丈夫」と最後に結ぶ、
これを毎回です。
療育って、
療育機関に行ったり専門家に診てもらったり、
何か特別なことのように思ってしまいがちですが、
わたしはこのお父さんの声かけが、
ものすごく大きな意味のある療育そのものに思えました。
何気ない日常の中にも、
子どもが不安になったり、苦手な場面ってたくさんあります。
そので都度、
代弁・説明・大丈夫
この3ステップを欠かさずやっていれば、
子どもは不安になりながらも、不安にのまれる前に浮上できるための
「ルーティーン」
を学んでいることになります。
ルーティーンを身体に染み込ませるには、一朝一夕ではできません。
同じような場面で、
何度も繰り返して頭ではなく、身体で覚えていく必要があるからです。
ルーティーンで覚えていくことは、
発達に困難さを持っている子どもが、日常生活をラクに送る事ができる方法の1つでもあります。
例えば、
幼稚園などで登園後に
部屋に着いたら鞄を置いて
↓
連絡帳を出して
↓
フックにタオルをかけて
↓
など
こんな一連の工程がありますよね。
これも、子どもの動線を考えて、
回りやすい順番で毎日同じ順番で、
同じことをする、
これを支援者と一緒に繰り返しやることで、
子どもは頭で考えるのではなく、
身体が勝手に動くくらいのルーティーンにしてしまうことで、
いずれ1人で登園後の支度ができるようになったりします。
番組の中で、
成長した子どもが
フットボールか何かの試合を見に行ったときの場面が出てきます。
周囲の人が大歓声を上げているのですが、
その声が怖くて、不安で耳をふさいで泣き出してしまいます。
ここでもお父さんが、
不安な気持ちを代弁し、
なぜ周囲の人が大きな声を出しているかを説明し、
怒りではなく喜びや応援の気持ちから大きな声を出していることを根気強く説明し、
最後に大丈夫だと言い聞かせていました。
会場から出るか、
応援を続けるか、
その選択を迫られたとき、
男の子は不安の中でも、
怖い気持ちを抱えながらも
応援を続けるという答えを出します。
もっと日常の小さな不安に対しては、
自分で「大丈夫」と結べるようになって、
不安を抱えながらもやり過ごせるようになっていました。
療育はとても時間と根気がいる作業です。
療育に効果があったと実感できるまでには、長い月日がかかることがあります。
何か特別なことを家でやろうとすると、
それだけ親にも負担が大きいのが正直なところです。
でもこんな風な声かけや、
子どもの自信につながりそうな口グセのようなものなら、
もう少し気楽に取り組めて、
かつ思った以上の効果があるんだと、新たな発見がありました。
わたしの場合は、
ポジティブな口グセというより、
のんびりな娘に対して、つい
「早く!早く!」が口グセになっている・・・
これを改めるところから始めたいですが・・・
日々これなかなか、時間って待ってくれないんですよねぇ・・