かんもくっ子が話せる意外な人
我が家の療育っ子は知的障害と場面緘黙症を持つ、小学2年生の女の子です。
基本的に家族以外と話すことはできませんが、
信頼している学校の先生やお友達とは、少し話ができるようになってきたこの頃。
娘がポツリと話し始めるためには、
信頼関係を積み重ね、安心な環境を整える必要があるので、なかなか一筋縄ではいきません。
ところが。
ごくまれに、
そもそも出会った当初から、緘黙のハードルが低い人がいるんです。
今、娘の心が一番波に乗っている人、それは・・
【放課後等デイサービスの送迎員さん】
放課後等デイサービスの、「先生」じゃないんですよ。
帰宅の際、自宅まで送ってくれる送迎担当のスタッフさんです。
施設から自宅まで、車で10~15分程度でしょうか。
そのたった10~15分の、車に乗っている間、
この送迎員さんが出してくれる、動物クイズに大きな声で答えたりしているんです。
でも娘が自然と心を開くのがよくわかります。
すっごく温厚で、見るからに朗らかで優しい、ちょっとご年配の方。
送迎のときに少し関わるだけのわたしも大好きだからです。
ちょうど先日投稿した、
療育マンガ劇場 第10話「お年寄りキラー?」にも通ずる話題ですね。
ちなみに以前にも2人、初対面で声を発した相手がいます。
【1人目:療育機関の言語療法の先生】
幼稚園の年長さんになった頃、ようやく始まった言語療法。
その初回で、ポロリと単語を話したのです。
卒園まであと1年で言語療法って、心を開いてなんてできるわけないじゃん。
言語療法を早く始めてほしかったばかりに、
焦りまくっていたわたしは、超絶驚き、心の中で先生にひたすら謝りました。
結果的に、言語療法の度に毎回話したか、というとそんなことはありませんでした。
でもハードルが低かったことは事実で、
「声が聞ける日」は、娘の中でもトップ3に入るほどの高頻度でした。
【2人目:小児科のお医者さん】
ハードルが低かった人にカウントしてはいけない気がしますが・・
初めて受診したときは、インフルエンザのワクチン接種。
恐怖のあまり、
「い・・痛くしないでぇぇぇ」と言ったのです。
この時もわたしはひたすらびっくりしたと同時に、
『あぁ、本当に怖いって思ったときには、ちゃんと声が出るんだ!』と心から安堵しました。
そして娘がこの先生に声を発したのは、この時限り。
本来なら、恐怖で声を絞り出さないといけない場面なんて、来ないに越したことはないのですが、SOSが出せるのは素晴らしいことです。
声を出して会話することに困難のないわたしたちだって、
初対面で「この人、なんか好きだな~」って打ち解けやすい人っていますよね。
その理由は?って聞かれても、
ただなんとなく、だったり。
安全に守られた環境で、いろんな人と接する機会が、
きっと娘の心のハードルをちょっとずつ低くしてくれるような気がします。
多くの人が利用する放課後等デイサービス、
利用する人もスタッフも、入れ替わりが多くて、
「はじめまして」が苦手な娘が、正直なかなか馴染める環境ではないかもしれません。
でも人生において、「変わらないもの」で自分を埋め尽くすのは不可能です。
少しずつ、少しずつでいい。
「変化」を受け入れて、生き方に「しなやかさ」が加わればいいな。