不登校、受診へ
トライ&エラーの繰り返し
中学1年生の長男が学校に行けなくなって、1ヵ月が経ちました。
文科省の掲げる「不登校」の定義には、連続して1ヵ月欠席が続いていることとあります。
つい昨日の新聞には、今年度の調査で不登校児童・生徒の数が過去最多とありました。
あ・・、うちも入ってるな。
前回の投稿の後日を、振り返っています。
前回の記事
「不登校、決してママのせいじゃないよ」
目次
1.1週間放っておいてみた結果
前回の投稿から半月も経っていたんだと、改めて驚きました。
前回投稿のその後、長男と夫と3人で話をしました。
「1週間放っておいてみたけど、どう?」
わたしが予想していたのとは逆に、
「少しラクになったよ」
と返ってきました。
『しんどいよ』と返ってきたら、受診してみようと話してみるつもりだったので、戸惑いました。
わたしから見れば、状態は悪くなっていたように思ったからです。
寝る時間起きる時間は後退してるし、顔色も良くない、と思っていたから。
*後にこの感覚のすれ違いの意味を知る事になります・・
ただ、寝つきが悪く、眠りも浅いとのこと。
そこで今後の選択肢を増やしてみました。
①このまま同じようにもう少し過ごしてみる ②うまく眠れるように医療に力を借りる ③うまく眠れるように自分で工夫をしてみる
すると、やっぱり眠れないのはしんどいから、受診したいと言いました。
内心とてもホッとしたのを覚えています。
とりあえずかかりつけの小児科で薬を出してもらえると思うから行ってみよう、と提案。
そしたら、
「精神科じゃなくて?」と聞くので、これも予想外。
でも本人の意識にあるのなら、良い方を選んでもらおうと思い、双方の特徴を簡単に伝えて選択肢を用意しました。
①かかりつけの小児科を受診 ②精神科である思春期外来を受診
そして①かかりつけの小児科を受診を選んだので、その週明けの月曜日に早速受診することに。
話をしたその日は、表情も柔らかくて、話し合いが終わった後も楽しく雑談をしたりして、とてもいい時間でした。
この日の雑談の中で、長男が「ポケモンGO」やってみたいんだよね、と言ったので、早速スマホに入れて、やろう!と盛り上がりました。
ポケモンGO、今更感も多少ありますが、リアルとバーチャルの間のようなもので、今このタイミングでやるにはいいかも!となんだか大きく前進したような気持ちになりました。
2.小児科を受診
色々な関係で、午後診は難しく、午前診の終わりの方に行こうと、本人にも前日に伝えていましたが、やはりなかなか起きられず・・
それでも頑張って、すごく頑張って起きて、行くことができました^^
診察の結果。
・貧血は問題なし ・起立性調節障害の疑いで血圧を安定させる薬の処方 ・睡眠導入剤で生活リズムを整える
睡眠導入剤を飲む時間を一定に、遅くとも11時には服薬。
起きられなくても朝8時には母がカーテンを開けること。
なるべく午前中に起きて朝食を食べるというリズムを取り戻すこと。
リズムが整わないと心も元気がでませんから。
先生が言うこと全て、わたしが思っていたことを代弁してくれて、すごく安心しました。
わたしではなく、お医者さんの言葉なら、本人にとっても響きが違うはず。
「先生との約束だから」
とリハビリ治療のリード権を先生に委ねられることで、わたしも関わり方に太鼓判をもらったような。
*後にこれもすれ違う原因になります
ですが、本人も受診して薬をもらえたことで、ホッと安心したような顔をしてたのも事実です。
3.服薬が始まって
辛い状態から抜け出せるかもしれない、
そんな期待と受診できたという安心感から、親子2人して心が随分軽くなりました。
その証拠に、明日はポケモンGOしにどこかへ行きたい!と言い出して^^
その日の夜から早速服薬開始。
3-1.好発進の初日
先生に言われた時間を守り服薬し、すぐベッドへ♪
表情も良い。
何より本人が前向きなのが嬉しい。
そして迎えた翌朝。
8時にカーテンを開けに行くと、寝つきに時間がかかったものの、いつもより眠れたと良い表情。
その後ほどなく起きてきて、朝食を食べ、出かけるということに多少抵抗があったものの連れ出すことに成功!
40分ほどでしたが、ポケモンGOの力を借りて一緒に散歩、しかも午前中です。
なんとこれほど早速に絶大なる効果が!
こんなことならもっと早く受診すればよかったね~。
そう思ったもの束の間でした。
3-2.反動から後退へ
久しぶりに散歩をした前日はとても天気が良く、10月なのに歩けば汗ばむほどの陽気でした。
お日様にあたるのは良いこと!
でもお日様が久しぶりな身体には疲れも出ます。
そんなわけで、その日、夕飯後に眠ってしまった長男。
それではいくら薬の力を借りても夜に眠れませんよね。
当然その翌日も起きれるわけがありません。
でもそれも納得できる前日があります。
「昨日は久しぶりに疲れたんだもんね」で納得できます。
ところが、この翌日もその翌日も、
起きられないばかりでなく、
決められた睡眠導入剤を飲む時間が日に日に遅くずれ込んでいきます。
朝カーテンを開けに行っても、部屋を出た途端に閉められてしまう。
は?なんで?
っていうか、薬を飲む時間を守ってないからでしょ。
そんなんで起きられるわけないし、カーテンを開けに行った母は、先生の言いつけを守っているだけ。
段々と腹が立ってきました。
治す気あるの⁉
行動の意味がまったく分からず、
決まった時間に薬を飲む、たったこれだけがどうしてできないの?
他は何をしていてもいい、ゲームばかりしてても、勉強など一切していなくても、そんなことはどうでもいい。
たったこれだけなんだよ?
「薬を飲む時間は守って!」
「カーテンは先生との約束だから開けます」
強めにそう言いました。
腹が立つのなんのって。
そしたらまた、口を閉ざされてしまいました。
3-3.カーテンを開ける?開けない?
行動の意味も分からないし、本人が受診して薬をもらって、そのサポートをしているだけなのに。
何をどう声掛けしていいのか分からず、自治体の不登校相談窓口に電話しました。
電話でなく、出向いて話をしたかったのですが、面談にも予約がいることと、成り行き上いろいろと話す必要もありました。
そしたら電話相談の方から
「カーテンなんて開けなくていい。起立性調節障害のお子さんにとってかなり辛いはずですよ。」
って言われて、正直これも納得できませんでした。
起立調節障害だと分かって、医師の元で治療をしてるのに。
カーテン開けずに、じゃあそれが治るんかい!と。
わたしは指示通りに開けた方がいいと信じているし、本人の様子を見る限り開けられると辛い。
一体どっちが正解なのか・・
4.受診をめぐる感覚のすれ違いに気付く
服薬の時間とカーテンの問題で、口を聞いてくれなくなった長男。
そして更に起きる時間が夕方へとずれ込んでいく現状。
ああ、つらい。
悶々と過ごす日が続き、先の不登校相談の面談の日が来ました。
どうせ同じこと言うんだろうな、と大して期待もせず行きました。
結果的に何かアドバイスをしてくれたわけではありませんでしたが、生まれてから今までの長男の様子を詳しく聞いてくれました。
やっぱり別に大した収穫もなかったな。
と思っていたのですが、その日は長男もお昼過ぎに起きてきて会話もできる感じでした。
それがすごく嬉しくて、心も少し軽くなったというきっかけと、詳しく話しを聞いてもらったことで、今まで見落としていたことに気が付いたのです。
「眠れるようになりたい」と言っていたこと カーテンを開けに行った時「眠れるだけで満足なんだ」と言っていたこと
受診をする前から、本人の希望は「眠れるようになる」ことであって、生活リズムを整えることではなかったんですよね。
服薬して、いつもよりよく眠れるようになったと言っていました。
つまり、服薬のおかげで眠れるようになるという目的が多少なりとも達成され、熟睡できる時間が長くなれば、日中起きているときがずっと眠い状態ではない。
起立性調節障害にしても不登校にしても、どちらの場合も夕方から夜にかけて調子が上がっていきます。
せっかく調子が上がってきたのに、時間だから薬を飲んでベッドに入れ、と言われたら、拒否したくなりますよね。
わたしが受診に際し求めていたのは、眠れるようになって、生活リズムがもとに戻って、強いては元の元気な長男に戻ってほしい、とここまでの大きなものだったんです。
だから自分の求める「受診」と本人の求める「受診」にすれ違いがあって、結局その差が関わり方にそのまんま出てしまうから、わたしの8時きっかりにカーテンを開けたりする行動が、本人にとってウザいもの以外何ものでもなかった。
このことに気付きました。
5.不登校の子を「好きにさせる」の意味
不登校、で検索すると、必ずどこのサイトでも書いています。
本人の好きなようにさせましょう。
昼夜逆転であっても、ゲーム三昧であっても、部屋から出たがらなくても、とにかく本人の思うように過ごさせましょう。
そのうちに自分から動き出しますよって。
先の電話の相談員の言葉もしかり。
カーテン開けてほしくなければ開けなくていい。
このことにずっと強い違和感を感じていました。
好きにさせる=放任する
そんな風に思っていたから。
今回の件で、少しだけ分かった気がしました。
「好きにさせる」ってことは、本人が今何を必要としているのか、を正しく知ってそれができるようにしてあげるって感じかな。
今回の長男にとって今は、
「ぐっすりと眠りたい」と願っていて、
時間帯なんてどうでもいいから、とにかく心と身体が満足するくらいまとめてぐっすりと眠る必要があったのだと思います。
ずっと眠れない日が続いていて、ようやく薬をもらってちょっと眠れるようになってきたけど、リズムはまだまだ不安定。
それなのにリズムを整えないと回復しないから!とまだ寝ていたいにも関わらずカーテンを開けられたり、薬を決めた時間に飲まないからだと朝起きないことを責められると・・そりゃ辛いですよね。
リズムを整えるのは、今までの睡眠不足(気分的なものも含めて)を十分に補ってから。
十分補えたかどうかは、本人にしか分かりません。
だから本人の「好きなように」に合わせる必要があったんじゃないかな。
とりあえずここまで思い至ることが出来ました。
何かを試みて、長男の反応に一喜一憂し、また振り出し。
そんな毎日に正直とても疲れます。
でも今回また一つ、手がかりが掴めました。
大きさも形もバラバラな、カラのコップがいっぱいあって、その一つ一つに丁寧に水を満たしていくような地道で根気と時間のいる作業になるのかな。
いつも長男の反抗的ともいえる態度で、今の関わり方が間違っていることに気付きます。
後退ばっかりしているようで、気が付きもしないほどの段を一つ一つ登っているはずだと信じて。
6.子どもを信じ切れていなかったことに気付く
このまま引きこもりになったらどうしよう。 このままずっと不登校だったらどうしよう。 このままずっと・・
そんな不安がずーっとありました。
でもその不安、長男の力を信じ切れていれば、あの子ならきっと大丈夫。
そう思えるはずのもの。
最初に「1週間放っておいてみたけど、どう?」という質問に、少しラクになったよ、と答えた長男。
これも信じてませんでしたよね、わたし。
事態悪化していると判断したのは、長男の生活リズムがさらに乱れたと思っていたから。
でも長男にしてみれば、「心が」ラクになったと言ってたんです。
それが事実なんですよね。
わたしがあの子を信じ切れていないのに、
根拠もなく大丈夫だよって言うわたしを信用してくれるわけないか。
自分を心から信じてくれる親のもとで、心から安心して過ごすことが大切だと知識としては知っていました。
どうやったらそれが叶うのか。
それが「好きに過ごす」ことを安心という布団の上でできる環境だということだったのかな。
ようやくそこに行きつきました。
正しい解釈かどうかはよくわかりませんが、今はそう信じて。