支援教育におけるICT活用
スマホやタブレットなど、今では子どもにとっても身近な存在です。
タブレット学習なども、家庭教育では一般的になってきました。
その便利な機器をもっと支援教育にも活用しよう、という動きが平成25年から文部科学省でも進められてきました。
実際に支援教育の現場で、どの程度活用されているのかは、各自治体、各学校により事情は様々ですが、ここでは家庭でも取り組めるアイデアやアプリを紹介します。
ICTって?
IT(情報技術)に「C:コミュニケーション」の要素を付け加えたものが、「ICT(情報通信技術)」です。
パソコンやスマホ、タブレットのような様々な電子機器を使って、通信やコミュニケーションを図る情報技術、と捉えることができます。
文字や数字の学習、歯磨きなどのお役立ちアプリを、スマホでお使いの方も多いと思います。
そんな便利なアプリを、いろんな角度から見てみると、教育や福祉の場面で非常に有用なものがたくさんあります。
支援教育に期待できるICT
文部科学省から、教育現場での取り組みとしてまとめたハンドブックがあります。
通常学級、通級指導、支援学級の3タイプに分かれていました。
その中から、支援学級でのICT活用イメージのページを抜粋します。
*ハンドブック全ページは文部科学省ホームページよりダウンロードできます。
支援学校に向けたハンドブックがないのが、個人的に気になりましたが・・
学校でもっと広くICTが活用されるようになってほしいとの願いももちろんありますが、まずは家庭や個別の療育などで、わたしたち保護者が幅広い使い道を知り、その利便性を発信すること、これが今できることだと思っています。
このように、「聞く・伝える・読む・書く」という学習の4大目的が、ICTを活用することによって、障害特性に左右されずに学習を進められる可能性が大いにに期待できます。
娘のように、場面緘黙症を持っていても、「声を発する」ところを機械にしてもらえば、「伝える」ことができます。
また同じように、文字を「書く」ことができなくても、「読む」ことができれば、文字を認識して入力することで、「書く」ことの代わりをしてもらえます。
このように、ICTを支援教育に取り入れるということは、
視力を上げるためにメガネをかけるように、
聴力を上げるために補聴器をつけるように、
ある種の困難があっても、その先へ学習を進めることができるアイテムとして取り入れよう、ということなんですね。
支援教育に使える便利なアプリ一覧
こちらは、東京都障害者IT地域支援センターホームページに、iPhone、iPad用・障害のある人に便利なアプリ一覧が載っています。
有料のものもありますが、無料のものもたくさんあります。
無料版でお試し利用してみて、有料版を購入することもできますし、気軽に試せるのが嬉しいですね。
以下は大まかなアプリの分類です。
- コミュニケーション支援(VOCA)
:声以外で会話や意思疎通を図る(指差し、絵などをフル活用) - 文字入力系
:簡単な操作で文字入力ができる - タイムエイド・スケジュール管理
:時間や行程の管理を助ける - 読書支援
:音声での読み上げや特定箇所をハイライト表示などで読みやすくする
代表的なアプリの紹介
東京障害者IT地域支援センターに掲載されていたアプリの中から、いくつかわたしが選んだものをご紹介します。
‣トーキングエイド
テキスト入力版とシンボル入力版の大きく2種類あり、それぞれ有料版と機能制限のある無料版があります。
コミュニケーション支援を文字でもシンボルでも使えるのが魅力です。
‣かなトーク
こちらは、娘の支援学校の先生に教えてもらったアプリでもあります。
有料版と無料版があり、無料版をひらがなの学習に利用しています。
発声や発音が、やや機械的なのですが、入力した文字を一文字ずつ読んでくれたり、まとまりで読んでくれたりするため、主にひらがなの「読み」、仮名と音の一致を助けてくれそうです。
娘のように、場面緘黙症で声が出ないと、ひらがなを正しく読めているのかどうかを、親以外知るのが難しいです。
ですが、このようなアプリを使うと、機械を介して発音を教えることができます。
‣絵カードタイマー
絵カードとシンプルなタイマーがセットで表示されることで、目的と残り時間が視覚的に表されることから、時間の管理が難しい場合の支援に使えます。
ただし、絵カードは別に用意する必要があります。
最近のアップデートで絵カードメーカーと連携することができるようになったそうです。
このほか、筆談につかえるホワイトボードアプリや、キーボードの文字を大きくして使いやすくするものなども一覧に載っています。
まとめ
ICT化、なんていうと難しく捉えてしまいますが、いまやスマホで何でもできる時代になってきました。
現代の子どもたちは、大人よりも扱いが直感的に分かりますし、我が家の上の子は、わたしよりもスマホのアプリの使い方をよく知っていたりします。
教育や福祉の世界では、今はまだ何となく特別なもので、その有効性を知る一部の人たちが自主的に使っているにすぎないように思いますが、近い将来当たり前に必要なツールとしてしっかりと根付いてほしいと思います。
そして今の子どもたちが大人になる頃には、教育や福祉の便利なアプリが特別なものではなく、バリアフリーな世の中に当たり前にあるアイテムとして、もっと広く、みんながどこでも使えるようになっているといいなと思います。