知的障害者雇用のパイオニア
~知的障害者が「働く」こと広めたすごい人~
わたしがこの方を知ったのは、今から6年ほど前になります。
娘が療育に通い始めて間もなくのころ、
そして療育関係の講演会というものに、初めて参加したときのこと。
日本で初めて、知的障害者を自身の会社に雇い入れた人。
「知的障害者雇用」という道を切り開いてくれた人。
このすごい人、それは
日本理科学工業株式会社 大山泰弘氏。
日本理科学工業株式会社は神奈川県にある創業83年、
国内チョークの50%以上のシェアを誇る会社であり、
日本でいち早く知的障害者の雇用を本格的に導入した会社です。
日本理科学工業株式会社の障害者雇用は実に61年にも及び、
日本にはまだジョブコーチなどの福祉制度がない中、最低賃金を支払い、障害者の雇用を続けてこられました。
障害者雇用を始めた当初は、
同じ賃金で働く従業員たちから多くの不満が噴出し、会社を辞める人も続出したそうです。
それでも障害者の雇用を続けてこられたのは、禅僧に教わった理念があったからと言います。
大山泰弘氏の理念
人間のしあわせは4つある。 人に愛されること 人に褒められること 人の役に立つこと 人から必要とされること そしてこの4つのしあわせのうち、 愛されること以外のしあわせは、働くことによって得られる
以後、様々なメディアで取り上げられてきました。
こちらは2009年に、大山氏へのインタビューを記事にしたものです。
「人様の役に立つ それが働くことの醍醐味」
*Wedge Infinityのページが開きます。
現在、福祉制度が拡充し、障害者雇用が一般的になってきました。
それでもまだ、問題はたくさんあるように思います。
福祉制度が拡充した今でも難しいことなのに、
それを切り開いて定着させた当時は、
わたしたちが想像もできないほどの苦労があったと察するに余りあります。
そして大山氏のおかげで、今がある。
知的障害を持っていても、就労という希望が持てること。
それは就労を通して、自分の足で歩んでいけるという喜びに繋がります。
壁は高く、道は細いかもしれないけれど、
道が作られたことがすばらしい。
大山氏が作ってくれた道を、娘が歩けていける日が来るかもしれない。
歩いて行ける日が来るといいな。
最後に、大山氏が雇用する障害者に求めることをご紹介します。
・基本的な身辺自立
・自分の足で通勤ができること
・誰の指示でも従い、すすんでやること
・仲間にいじわるをしない
・あいさつができること
この5つだそうです。
そしてこの5つ、やり方は人それぞれでいいそうです。
おはようございます!って大きな声で言えなくても、
会釈をする、ハイタッチでする、目を合せてニコリとするなど。
その人ができる表現を、精一杯できればいいんだそうです。