自筆証書遺言書保管制度って?
遺言がもっと身近になった!
障害児の親亡き後問題で度々登場する「遺言」。
財産の管理が難しいなど、障害を持つ子にとって金銭や不動産などといった「相続」の問題は、親亡き後、すなわち親自身がもう関与できない状況下で起こります。
残された兄弟や、親戚、そして障害を持つ子自身を守るために、自分たちが遺すものが一番良いと思う形であってほしい。
自分たちがいなくなった後で、相続で愛する子どもたちが不幸にならないために。
そのために「遺言」がとても効果的であることをこれまでもブログでも触れてきました。
この自筆証書遺言保管制度は、今までハードルの高かった「遺言」がちょっと身近になる、新しい制度です。
~目次~
1.自筆証書遺言保管制度とは
2020年7月に開始した制度で、自分で作成した遺言書を法務局が預かってくれる制度です。
必要事項などを記入できる用紙も、法務局からダウンロードできます。
*詳細は、法務省の自筆証書保管制度のページをご覧ください。
今までハードルの高かった遺言作成と保管。
これまでは正式な遺言を作成するには、2人以上の証人とともに公証人役場に行き、作成する必要があるなど、手間や手数料がかかり、あまり一般的ではありませんでした。
また、保管についても自宅などで保管されていた場合、紛失や改ざんなどの恐れもあり、実際にその遺言の効力を発揮できる可能性は、あらゆる理由で殆どゼロに等しかった現実があります。
この自筆証書遺言保管制度は、本人が作成したものであるという法的な証拠とともに、作成した遺言を適正に保管してくれる制度なのです。
1-1.料金や申請に必要なものについて
◎保管手数料3900円(収入印紙で支払い)
◎満15歳以上であれば作成可能
◎顔写真付き身分証、住民票の写しを持って、必ず本人が出向かなければならない
郵送や代理人申請は受け付けていないそうです
動けるうちに、早めに準備した方が良さそうです。
2.注意点
◎遺言の内容についての相談やアドバイスはしてもらえない
文書の体裁などのチェックはしてもらえるため、家庭裁判所の検認は必要ありません。
ただ、作成した内容に不備がないか、添付すべき書類が揃っているかなど、遺言を「有効な」ものにするための相談は、法務局では対応してくれません。
そのため司法書士や弁護士などの専門家と相談しながら作成した方が良いとのことです。
無料相談などを上手く活用して、有効な遺言を残したいですね
例えば、自宅などの不動産を誰それに、という内容1つにとっても、自宅の不動産の登記のことや、必要な印鑑はどれか、誰それとはどこに住む誰で、続柄や戸籍は・・など公的な文書に盛り込むべき情報は、素人ではすべて網羅できません。
せっかく作成した遺言が効力を発揮できなければ、障害を持つ子の成年後見人が、「法的な財産の取り分」を主張した場合、残された兄弟や親戚一同が、障害を持つ子が相続してしまった財産の処分等に容易に手を出すことができなくなり、自分たちの財産であったはずのものが、ただの足かせになってしまいます。
さらには障害を持つ子が相続した財産が、その子の幸せのために使われるという保証もない、つまり誰の幸せにもなれない。
そんな相続は親が望むものでは決してありません。
遺言を作成するというのは、この残された家族が相続をめぐっての苦労を先周りして取り除く。
そんな方法の1つだと思います。
◎作成した遺言を生前に閲覧確認できるのは本人だけ
遺言を作成した本人であれば、法務局で閲覧し、遺言を撤回することができます。
遺言の内容を家族で事前に共有しておきたいなどの場合は、保管申請をする前に済ませておく必要があるようです。
◎遺言者や遺言受取人に関する変更は、郵送あるいは代理人でも可能
遺言作成者自身や、遺言を受け取る人*の氏名や住所などに変更があった場合にも届け出る必要があります。
これは必ずしも本人が出向く必要はなく、輸送や代理人(成年後見人を含む)でも届け出ることができます。
*補足)遺言者が希望すれば、死亡時通知を指定した相続人に郵送してもらえるサービスがあります。
近しい家族には、遺言を預けていることや、その内容について共通の理解と認識を持っていた方がいいかもしれないな
3.まとめ
身近になったとはいえ、知らないことばかりで大変そうだな・・と思ってしまいました。
遺言の中身をどうするか、
希望通りにするために書くべき内容は?書き方は?
1つずつ取り組むには体力も気力も必要そう。
だから早めの準備が大事なんですね。
ちなみに保管してもらえる遺言には、遺族に宛てたメッセージも添えることができるそうです。
どんな想いでこの遺言を残したのか、家族に対する想いなども込められるのは嬉しいです。
せっかく作成した遺言が効力を発揮できなければ、障害を持つ子の成年後見人が、「法的な財産の取り分」を主張した場合、残された兄弟や親戚一同が、障害を持つ子が相続してしまった財産の処分等に容易に手を出すことができなくなり、自分たちの財産であったはずのものが、ただの足かせになってしまいます。 さらには障害を持つ子が相続した財産が、その子の幸せのために使われるという保証もない、つまり誰の幸せにもなれない。 そんな相続は親が望むものでは決してありません。 遺言を作成するというのは、この残された家族が相続をめぐっての苦労を先周りして取り除く。 そんな方法の1つだと思います。