場面緘黙症と療育手帳
~場面緘黙症は療育手帳の対象となるのか?~
目次
療育手帳とは
療育手帳とは、知的障害を対象とした障害者手帳です。
*詳しくは以下のページをご覧ください。
◎場面緘黙症は療育手帳の交付理由にはならない
知的障害を対象にした療育手帳なので、
場面緘黙症という理由だけでは療育手帳を取得できません。
理由だけでは、と記載したのは、
場面緘黙症が、知的な発達に関与している場合もあり、
さらには子どもや親の困り感に大きく影響することもあるからです。
とりわけ子どもが小さいうちに療育手帳を申請した場合、
子ども自身の発達検査に加えて、
親が行う調査・面談では、
「どのくらい親がその子を育てる上で困り感があるか」
これが結構重視されます。
◎療育手帳の交付に場面緘黙症は考慮される
療育手帳はあくまで知的な遅れ(知的障害)に対して交付されるものですが、一方で、その子の発達や日常生活に大きな影響を及ぼしている要因として十分考慮されます。
例えば、発達検査を受けた時、
場面緘黙症とかん動症状が原因で、その発達検査を受けられなかった、
または受けたけれど、本来の力を発揮しきれなかった、ということもあります。
我が家の療育っ子もそうでした。
発達検査を主体的に取り組めなかった。
これがこの子の持つ「対外的な能力」として、
本来の力はこの限りではないとされつつも、
発揮できない力は、力とは見なさない、
この方が本人にとっての困り感を反映することになるからです。
そして言語以外の発達検査でも、発達が遅れている傾向にある場合。
まさに我が家の療育っ子がそうでしたが、
こんな場合には、面談の結果、療育手帳に該当する、とされることがあります。
就学先として特別支援学校を考えていて、療育手帳の交付を望む場合、主治医の先生や面談の先生とよく話をするといいかもしれません。
また、療育手帳に該当しなくても、以下に記載の精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。
精神障害者保健福祉手帳とは
以下、厚生労働省「みんなのメンタルヘルスケア」より抜粋です。
精神障害者保健福祉手帳に該当する方
何らかの精神障害(てんかん、発達障害などを含みます)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としています。 対象となるのは全ての精神障害で、次のようなものが含まれます。
・統合失調症
・うつ病、そううつ病などの気分障害
・てんかん
・薬物依存症
・高次脳機能障害
・発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
・そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)ただし、発達障害があり、上記の精神障害がない方については、療育手帳制度があるため、手帳の対象とはなりません。(発達障害と精神障害を両方有する場合は、両方の手帳を受けることができます。)
また、手帳を受けるためには、その精神障害による初診日から6か月以上経過していることが必要になります。
厚生労働省 「みんなのメンタルヘルスケア」より
療育手帳との違いの1つは、
障害ではなく完治する可能性のある疾病が対象となっているため、手帳の有効期限が2年としっかりと設けられていることです。
各種等級の違いや、受けられるサービスについては
厚生労働省「みんなのメンタルヘルスケア」をご覧ください。
◎場面緘黙症は精神障害者保健福祉手帳の交付理由になり得る
場面緘黙症も精神障害者保健福祉手帳の対象となり得ます。
また、知的な遅れを伴わない発達障害も対象になっています。
場面緘黙症は克服する可能性がありますが、
その症状の程度によっては日常生活に大きな支障を来すものです。
障害者手帳を取得するかどうかは個人の判断になりますが、様々な公的福祉サービスが受けられるようになるメリットは大きいです。
通院にかかる医療費の負担が軽くなったり、
就職の際には障害者枠での雇用が見込める、
障害者職場適応訓練が受けられるなど
社会生活の上で、味方になってくれるものです。
「手帳を持つことのデメリットは親の(本人の)心だけ」
これは療育の先生から言われた、忘れられない言葉の1つです。