療育っ子と兄弟
本サイトで度々登場する我が家の療育っ子とその兄。
ここでは下の子である療育っ子が産まれてからのお兄ちゃんとの関係の変化について綴っていきたいと思います。
下の子である療育っ子を妊娠したのはお兄ちゃんが3歳後半のころ。
実はわたしの妊娠にいち早く気付いたのはお兄ちゃんでした。
小さいころから見えないものが見えてしまうようで、
一口でいうと霊感の強い子でした。
今でこそもう見えなくなったのか、
そんな話はしなくなりましたが、
上の子がもっと小さいころ、当時住んでいた部屋で普段通り過ごしていると、
「おばさんと女の子が帰ってきた」などと言うのです。
「!」
おばさんと女の子って誰?
帰ってきたって何?
当時はわたしたち夫婦と上の子の3人暮らし。
帰ってくる人など他にはいません。
このような発言を繰り返して、時々わたしはぞっとしたものです。
でも上の子が怖がる様子はないことから、
悪いものではないんだと自分に言い聞かせることで平気を振舞っていました。
そんな上の子がある日、
「お母さん、お腹に赤ちゃんがいるよ」と言うではありませんか。
それも「女の子だよ」と。
なにーー⁉
上の子がそんなことを言ったのは、
わたしの生理予定日を1週間ほど過ぎたあたり。
そこで慌てて市販の妊娠検査薬を買いに行き、
検査してみたところ、ばっちりと陽性反応が。
こんなことってある?
すごいな、この子!
そしてわたしの妊娠が確実になってからというもの、
上の子は通っていた幼稚園の先生に、
「妹が産まれるんだよ!」と嬉しそうに話していたらしいです。
そんなこんなで下の子を出産。
下の子が産まれてから、
上の子に寂しい思いをさせてことも度々ありましたが、
兄弟の関係は良好そのものでした。
お兄ちゃんは妹をかわいがり、
妹はお兄ちゃんが大好き。
それは娘が就学を迎える直前まで続いたと思います。
娘に療育が必要だと分かったとき、
自宅に度々届く「障害福祉課」からの書類や、療育先からの書類の封筒を見て、ある日上の子がこそっと聞いてきたことがあります。
「妹は障害者なん?」
これを聞かれたときはまだ、
診断という形では出ていませんでしたが、
その可能性も含めてきちんと話しておいた方がいい、
そう思って、療育っ子の状況を説明しました。
上の子の反応は、
「そうなんや」
「療育に通って良くなると良いね!」
だったように思います。
このとき、
上の子がこんな風に前向きな返答をしてくれたことで
どれほど救われたか分かりません。
ただただ、感謝。
その後の生活で問題が一切なかったわけではありません。
時々療育っ子の能力的な問題を責めるようなこともあったし、
その度にそこだけは譲れないとばかりに、きつく叱ったこともあります。
でも、日々の多忙な療育生活の中で、
上の子に寂しい思いをさせているという罪悪感のようなものもありました。
なんとも言えない複雑な心境でした。
そしていよいよ療育っ子の就学先を決める時期になったとき、
地域の学校の特別支援学級も考えた、
と先のブログ「療育っ子の小学校選び」で書いていますが、
それは上の子が通ってる学校ということになります。
その時上の子は小学5年生。
療育っ子が小学校1年生のとき小学校6年生になります。
ちょうど1年間、同じ学校に通う事ができるという年齢になります。
親としてみれば、
1年だけでも同じ学校に通い、なんなら朝の登校は一緒にしてもらえる、
そんな期待もあったのが正直なところです。
それに上の子も、
「学校に忘れ物したらオレが持って帰ってやるよ」
なんて泣けるようなことも言ってくれていました。
結果的に、療育っ子は特別支援学校に通う事になったのですが、
今となっては、兄弟の関係という点から考えても、別の学校に行くことになってよかったと思っています。
それはやっぱり上の子も成長し、思春期に入ったことで強く思うようになりました。
兄弟関係が少しずつ、変化してきたからです。
上の子は思春期でイライラしやすいし、
下の療育っ子は言葉が育ってきたことの副反応として余計な一言をお兄ちゃんに言ってみたり、しつこく話しかけたりしてお兄ちゃんをイラつかせます。
「うるさい!」
「そんなことも一人でできんの⁉」
「どけ!」
こんな言葉がお兄ちゃんの口からよく出るようになってきました。
そしてそんな言葉が出る時は決まって、
お兄ちゃんの心のコンディションが特に悪いということも分かっていました。
学校で何か嫌なことがあった、
自分の嫌いな学習が続いている、
先生が気に入らない、
など理由は様々で、もちろん八つ当たりに近いものです。
でも思春期ってそんなものですよね、きっと。
心のベースがもう不安定なので、
ちょっとの刺激でイライラが止まらない。
自分が中学生のころを思い出してみても、
なんかとにかくイライラする。
親の些細な言動に突っかかりたくなる。
思い当たる節はいくつもありました。
なのでしょうがない。
なるべく療育っ子がちょっかいをかけに行かないようにするしかありません。
お互いを守るために。
そして今のところ、
上の子のイライラの矛先は療育っ子に向いていて、
わたしや夫に対しては今まで通り、色んな事をよく話してくれます。
兄弟関係という意味ではうまくいっていない、
という表現になりますが、
家族全体を見ると、そう悪くはないと思います。
家族で出かけると言っても、
もう一緒に来てくれることは少ないですが、仲が悪いわけではないと。
それに、
今までいいお兄ちゃんでいてくれたという事実があり、
その裏でたくさんの我慢をしてきただろうし、
寂しい思いをしてきたのだと、今更ながらに胸が痛いです。
療育関係の講演を聞きに行ったとき、
「きょうだい児」という言葉があることを知りました。
きょうだい児とは、病気や障害をもつ子の兄弟、という意味で、
我が家の場合はお兄ちゃんの方を指します。
兄弟に病気や障害をもつ子がいる場合、
親はどうしても病気や障害をもつ子の世話で手一杯になってしまいます。
すると他の兄弟は、
「出来ることが当たり前」になってしまって、
我慢をしたり頑張り過ぎたり、そして寂しい思いをしたりしてしまう。
愛情は兄弟平等に持っているつもりでも、
上の子だってまだまだ子ども。
これはもっと意識を高く持っておかないといけない!
そう思いました。
ブログ記事「きょうだい児のこと」に続きます。