療育っ子とキャッシュレス決済
~便利なものがいいと限らない⁉~
さてさて世の中、どこでもキャッシュレスの時代がすぐそこまで来てますね。
なんでもスマホで完結する、便利な時代になったものです。
スマホが登場してからというもの、わたしたちの生活は大きく変わったと思います。
家族のスケジュールなんかも共有して、
管理はしやすくなりました。
わたしは、というものの、
スケジュールは未だに手帳というアナログ管理。
そしてキャッシュレスも、なんだか抵抗があります。
スマホという機械1つに、
個人情報も財布も銀行口座も全部集約されることに危機感を覚えるアナログ派人間です。
だって、スマホの充電が切れたら何にもできなくなるし、
スマホを落とした日には、全財産を失う恐れがあるなんて、
そんな恐ろしいこと・・・
そして我が家のスマホ事情は、とても最新とは言えません。
なので、OSが古いがために、
見放されるアプリが続出する危機に瀕しています。
それなのに、スマホって高い!
格安スマホを使う我が家には、機種変更は高い壁です。
生活にこれほど浸透しているものなのに、
なぜこれほどまでに高額なのか。
そんな憤りを抱えながら、ついこの間、
思い切ってキャッシュレスアプリを1つ入れて使ってみました。
ええ、時代には逆らえないところがあります。
というのも、使ってみたいというより、
我が家の上の子が近いうちに自分のスマホを持った時に、
当然使うだろうこのキャッシュレス決済について、
自分がまず使ってみて、知っておく必要があると思ったから。
得体のしれないものを、子どもに使わせるわけにはいかない!
豪語してみたものの、
スマホの使いこなし述は、もはや上の子の方が格上です。
SIMカードの入っていない、
わたしの昔のスマホを持っていますが、
そんなことできたんだ!ということばかりです。
いよいよ親の目をかいくぐって、
こっそり良くない使い方をしていても、もう見抜けないかもしれない。
そんな焦りもありました。
さて話が戻りますが、
キャッシュレス決済アプリを導入しましたが、
使い方はというと、銀行口座やクレジットカードと紐づけすることなく、
現金をコンビニでチャージするという、
上の子に「キャッシュレスの意味!」と突っ込まれるような使い方です。
それでも支払いはちゃんとキャッシュレスですよ♪
そしてすっごく便利!
小銭をガサガサしなくていいし、
モバイルオーダーもピピッと簡単。
これは便利~~
お友達との割り勘機能も最高です!
でもなんだろう。
お金を使ってるっていう感覚がないんです。
皆無。
クレジットカードも同じようなものなんだろうけど、
このスマホのアプリで支払う感覚が、
なんかゲームのような手軽さで、
汗水たらして働いたお金を使う感覚っていうか、
子どものころに感じた500円玉を使う時のドキドキ感というか、
そんなものが一切ない。
これをお金を使うという手段の最初の経験だとしたら、
社会生活のビギナーである子どもがこれを当たり前のように使うのだとしたら、
そう思うと、すごく怖くなりました。
上の子が小さい時は、
まだ現金を使う場面があちこちにあって、
小銭を持たせてコンビニのレジを通る経験とか、
ちょっとしたお使いに行く経験とか、
そんなことをさせてあげられました。
なので金銭感覚はわりと持っていると思います。
わりと、というか、
時にケチくさいほどに、お金にはシビアです。
でも。
我が家の療育っ子は、その発達具合からも、
このような「お金を使う」という経験が、
ほんのままごと程度しかさせてあげられません。
そして将来的に、
お金の計算が十分できるようになっているか、
というのもまだ分からないのです。
そんな療育っ子が買い物をする際、
キャッシュレス決済はとても重宝するかもしれません。
購入金額に応じて、
財布から適当なお金を出す、という作業ができなくても、
問題なく欲しいものが手に入るでしょう。
でも同時に、
キャッシュレス決済だけでは
金銭感覚はいつまでたっても身に付くものではありません。
法外な値段でも、
その価値が分からずに、ピピッとしてしまうかもしれない。
どのくらいのお金があれば、
どのようなものが手に入り、どのようなものが贅沢なのか。
こんな判断がつかないような気がしたんです。
もちろん予算管理の機能もあります。
使用の上限金額を設定することもできます。
でも、お金の重みって、
その価値をとらえる感覚って、
現金そのものに置き換えて覚えるものだったように思います。
自分のことを振り返ると、
1円玉って軽いな、とか(1円も大事です)
500円玉の存在感!とか、
福沢諭吉さまの神々しい感じとか。
そんな現金そのものが持つ、金銭のイメージというのでしょうか。
事実、
とある小学校に、こんなエピソードがあります。
算数の授業で、
太郎くんは50円の鉛筆と100円のノートを買います。
200円支払ったとき、受け取るお釣りはいくらですか?子ども1「先生、お釣りってなんですか?」
子ども2「お釣りってお駄賃じゃないんですか?」
これは問題ですよ!大問題!
キャッシュレスの影響がもう子どもたちに出ているんです。
こうなると算数の問題も、変わってくるんでしょうね。
太郎君は50円の鉛筆と100円のノートを買います。
キャッシュレスアプリの残高が200円の場合、
鉛筆とノートを買った後、残高はいくらになりますか?
・・・これ、大丈夫でしょうか?
そもそもスマホなどの契約事が一人で交わせないかもしれない療育っ子が、
日々の支払いとかなんとかを
全てスマホでしないといけないのだとしたら、
操作そのものの簡便さよりも、
その管理の難しさの方が、
わたしにはデメリットに思えてなりません。
子育て本の多くに、
「子どもには本物に触れる機会を」ってよく書かれてますよね。
この本物、というのは、
絵とか写真じゃなくて、
本物の海に行ってみるとか、
CDじゃなくて本物の音楽を聴きに行ってみるとか、
そういった五感を刺激するという意味合いが大きいですが、
現金という本物に触れずして、
お金の価値を分かれというのは無理な話だと思います。
便利さだけを追求するような、
大事なものをすっとばしてしまうような、
そんな時代の流れなら、ちょっと待ってほしいなぁ。
わたしは上の子に時代遅れと笑われようとも、
とりわけ療育っ子と一緒に支払いをするような場面では
まだまだ現金を使うわ!
そう心に決め、今日も小銭だらけの財布を握りしめ、買い物に行ってきます!